2020年9月24日木曜日

PMシンポジウム2020 参加レポート (Day 2)

2日目の受講レポート(メモ)。

ビッグピクチャー×デジタル
イノベーションを駆動する構想力とDX
多摩大学 紺野 登氏

環境革命。今は地球規模の大転換期。
COVID-19は地球環境の変化から生まれたのではないかと言われている。
反政府運動は増加傾向。
日本人の意識は?
 「暮らしの未来の満足度」は高いが「社会の未来の満足度」は低い
 「すぐ手を付けなければ取り返しがつかなくなること」=地球環境変動
ビジネスパーソンの3割がSDGsはイノベーションテーマとしてふさわしいと考えている。
イノベーションへの取り組みが高い企業では、6割の従業員がふさわしいと認識。

SDGsが企業の命運を分ける。
成長するには、17のゴールの個々を目指すのではなく、全体をビジネスに結びつけることが重要。

責任あるイノベーション投資が適切なリターンを生むようになる。
(今まではイノベーション投資はリターンが少ないと考えられてきた)
日本企業はそれほど社会投資意識が高くない。課題である。

都市からのイノベーション
都市問題に関する未来のリスクに対するイノベーションを。
FCAJ
Ecosystem for Open Innovation 2.0
Future Center,Innovation Center, Living Lab
イノベーションの場の役割高まる。
COVID-19関連 安心な都市環境を作る検証。
ユビキタスヘルスケア。例:デジタル聴診器でリモート聴診

かつて後藤新平という医師が日清戦争から帰還した軍人の検疫に取り組んだ。
このようなことが今回も必要。
コロナ発生時にヨーロッパでは「今の日本には後藤新平はいないのか」と言われた。

機動的大企業の台頭
コロナ禍以前の顧客は戻らない。例えば都心の小売店に顧客は戻らない。
戻らないことを前提に何をするか?

ピボット=方向転換、路線変更(中心軸を持ちながら回転する)

クライシスはイノベーションの好機。
Adobeはリーマンショックで顧客が減ったが、サブスク型にPivotingし急成長。
Microsoftもサブスクにシフト。今やオープンソースの会社になろうとしている。

大企業の復讐
"How to kill a unicorn"
イノベーションをスタートアップだけに任せない。機動的大組織。

GDPに占める大企業のシェアは増大しているが、一方で大企業の寿命は縮んでいる。
規模の大小ではなく、スケール化する能力/速度が決定因。
大企業とスタートアップの共生(エコシステム)によるオープンイノベーションが重要。

ハイアールの例
CEOが「我々は機動的大企業になった」と宣言。
かつて従業員は上司の指示待ちだった。今、彼らは顧客に耳を傾ける。
ミドルマネジメントを首にして全員アントレプレナーにし、顧客のフロントラインに置いた。

大企業-スタートアップ=官僚主義
大企業には多くの資産がある。使わないと官僚主義のみ残る。

イノベーション経営の時代
知識経済社会・知の共創

ポールローマーの知識経済成長理論
イノベーションが経済を駆動する。
知識という資源は使ってもなくならない。

イノベーション・マネジメント
イノベーションプロジェクトのマネジメントから、経営の中核にイノベーションを置く考えに発展。

世界は日本的経営からイノベーション経営へ。
ケイレツやカイゼンの研究から、オープンイノベーションやリーンマニュファクチャリングへ。

イノベーションを軸とする経営モデルへ。
これまでは既存事業が中心にあり、新規事業(イノベーション)はその外側についていた(多角化)。いわゆる両利き経営、2階建て経営。
今後は全てがイノベーションの対象。既存事業イノベーション、非連続的イノベーション、関連(拡大)イノベーション。

イノベーション経営の標準化
ISO56002 イノベーション・マネジメントシステム 2019年発行。
イノベーションをPDCAで回すということではない。イノベーションは試行錯誤であり、それを支えるところをPDCAで回すということ。

参考:ISO34001 ナレッジ・マネジメントシステム
『知識創造経営のプリンシプル』野中郁次郎
知識創造プロセスが中心に(ISO56002の中心でもある)。
SECIモデルを活用し、組織的知識創造としてのイノベーション。
これが回っている企業は強い。

DX:人間の尊厳の尊重
DXの中核は、サーバーをスクラップしてクラウド化するというようなテクノロジーの話ではない。
COVID-19でDXへのドライブがかかった。
80~90年代 工場モードのオフィスの終焉
~2010年代 管理モードのオフィスの終焉
2010年代 企業モードのオフィスの終焉(出勤しなくて良くなった)

DXとは?
デジタル化がすべて人間にとって良いわけではない。
DXの定義は人々の生活を良い方向に変化させること。

DXと人間の美的経験
情報技術を無反射に受け入れることに対しての批判的な姿勢。
デザイン思考が不可欠。デザイン思考は知識創造プロセスの1つの形でもある。

DXにより企業の根本的なあり方が変化。

顧客を人間として捉える。
従業員の自律性。
エコシステム/プラットフォーム変革。

ハイアールは製造業であることをやめエコシステム企業になる。
例:冷蔵庫 ユーザーの関心は食料の購入、保存、レシピ、調理の準備、どんな食卓にするか 生活世界に生きている

旧来:モノの機能的価値の上に意味的価値を乗せる
今後:人間・社会的価値の上に審美的価値を乗せる

目的工学・構想力の要請
2019年ビジネスラウンドテーブル「企業の目的に関する声明」
企業はROEではなく、目的を大切にする方向にピボッティング。

批判:シリコンバレーは目的を喪失した

構想力の方法論
想像力→実践力→主観力→…

知識創造のリスク
知識創造は共通善を必然的に志向しなければならない。

目的工学
目的を大目的・中目的・小目的の3階層で整理。
例:テスタモーターズ
大目的 私が主要かつ矛盾のない持続的な解決と信じる、資源を掘って燃やす炭化水素経済から太陽電池経済への移行を促進する
駆動目的(中目的) 2025年までに航続距離500マイルを達成する
個別ビジネス目的(小目的) 単体の製品販売
永続的なベータ版状態にあるトータルシステム。
ユーザーストーリーに統合、アジャイルの考え方を取り入れる。
ビジネスモデルが普通と逆。注文を先に取る。

日本はずっと構想力重視に転換しなかった。一方、アメリカは日本脅威論の頃に転換した。

Withコロナの社会では、複雑性と持続性を追求していくことになる。


心を地球化し、身体を地域化する
元国際協力NGO日本国際ボランティアセンター 岩崎 駿介氏

持続可能な社会を実現するビジネスをデジタル化せよ。
まず持続可能な社会を実現するビジネスとは何か?
ドラッカーの言葉に「金を稼ぐと同時に人のために尽くす」というものがあるが、今はビジネスそのものが地球の永続性と矛盾するに至った。

生きることを否定することはできないので、需要を生み出す価値の体型を見直し、現在資本主義経済システムを見直す。

資本主義社会を支える5つの要件
資本
技術
資源
労働
市場

労働(生産)の過程で廃棄物が出て地球環境に影響している。

デジタル化は何をもたらすのか?
中国は監視社会になった。町中に監視カメラ。
人間から仕事と生き甲斐を奪い、機会に仕事をさせて労賃の出費を少なくするだけではないか。これはBasic Income制度の導入を意味する。

都市労働の流れ
都市労働者→工場を途上国に移す→労働をすべて機械化
前に進むこと、開発することに疑問が生じ、人類史そのものが問われている。
エネルギー利用を増大させて肉体労働を軽減し、自然を我がものとしてきた。
人間は肥満で不健康に。

開発とは何か?
ウォルト・ロストウ「発展段階論」にサミール・サミン「従属論」が反論。
すべての国は他国を踏みつけることによって成長してきた。

講演者の経歴、見てきた世界
  • ガーナ国立大学で建築を教える
  • アメリカ ボストンの大学院で都市について学ぶ
  • 横浜市職員へ 都市デザインを推進 港北ニュータウン設計など
  • 国連職員になってアジアに スラム問題担当課長
    アジア・アフリカ・南米の大都市 20~30%がスラムに住む
  • 日本国際ボランティアセンターの創立に参加
    タイでは山を焼いてとうもろこしを植え、日本に豚の餌として輸出

都市は自らが引き起こしてきた地球環境破壊を自ら止めることができない。
都市は自分のよって立つ基盤が見えないように設計し、環境そのもの、地球そのものを見えなくさせてしまう。

現代社会の大きな2つの問題
  • 人と地球の関係
  • 人と人の関係

環境破壊
コロナウイルスは、人間が生態系を破壊し野生生物が人間世界に現れたことが原因とされる。
異常気象発生。気温上昇、台風が強くなる。
北極圏の永久凍土が溶け出しメタンガスが放出される。
森林破壊によりジャングルがなくなりプランテーションに。

R>G
資本収益率4~5%
経済成長率1~2%
実質経済が失われている。格差拡大。

世界的に都市化が進んでおり、農村はなくなっていく。
「象の鼻のグラフ」で実質所得の変化を見ると、新興国と、先進国の富裕層が増えている。先進国の中低所得者は増えていない。

現代文明の背後にある価値の体系を探る
ガーナでは海が光らない(太陽が海に沈まない)。赤道直下にあるから。
人間の価値体系はその土地の気候風土から生まれる。
ヒマラヤを境にして大きく分かれる。
西欧文明は砂漠から生まれている。
「高くありたい」と望む思想は、星を神と崇めたキリスト教が背後にある。
現代の科学・文明はデカルト座標軸、次元的思想から生まれた。
東洋の空間・思想は円環の思想。水が豊か。
 同時に閉鎖的で個人を押しつぶす危険性がある。「和の思想」
西洋は天を目指し、東洋は奥を目指す。

未来への選択
デジタル化は果たして何をもたらすか?

3つの選択肢
  • 今のシステムのまま 廃棄物を技術によって除去 科学技術を信じる 西欧文明の本命
  • 今のシステムのまま 生態系が完全に破壊される
  • 価値の転換を試みる

茨城県八郷村「わが八郷村宣言」
循環エネルギー、有機農業を推進。
遠くの国の紛争や貧困を子どもたちと共有。

これからの生き方の1つの形「半農半X」

国に生きるのではなく地球に生きる。

量子物理学と仏陀の主張。色即是空、空即是色

自然をもう一度取り戻す。その土地が持つ内的エネルギーを形化する。

“五感経営”とデジタルトランスフォーメーション
社員が幸せに働き、持続可能な社会を創るための職場環境整備
石坂産業 石坂 典子氏

「自然と美しく生きる」
会社として資源再生、サステナビリティ教育に取り組む。五感経営。
機械だけに頼らず本能的な判断。

資源再生98%達成。
廃棄廃棄物は年間4億トンであり、一般廃棄物の9倍。

産業廃棄物処理業者の仕事を世の中に知ってもらいたい。
里山「三富今昔村」「石坂オーガニックファーム」を立ち上げ。

持続可能な経営
社員が自分の子供を働かせたいと思える会社を目指す。
ISO7種統合マネジメントシステムを運用、経営と一体化。
五感を使ってボトムアップで改善活動。
多様な働き方と健康経営を推進。Well認証取得予定。
産学官連携、他企業とのパートナーシップで課題解決。

企業見学も経営ツール。

今の若者は会社を選ぶ時に業績だけで選んでいるわけではない。
世界から働きたいと思われる会社にならなければならない。
社会問題と環境問題に取り組んでいる会社で働きたい。
そうした取り組みが見える化できているか?。

社長の頭の中を可視化することは難しい。
空間、(職場)環境、サービスの可視化、客観的な評価をしてもらうためにISOを取得。

社員満足と成長のための人事制度改革
  • 研修体制の整備
  • 個性を活かす採用と配属
  • 社員満足の把握と改善
組織能力を向上させるためのチーム活動
横軸連携のプロジェクトで会社の課題を解決する。
QCサークル活動など。

SDGs
「12 つくる責任、つかう責任」
廃棄物に有害物質が含まれている。平時は問題ないが廃棄時に影響がある。
一番大切なものは「17 パートナーシップで目標を達成しよう」。
ESG投資。
自分たちの活動がSDGsのどれに当てはまるのかを整理・可視化することが大切。

2067年の石坂産業は?
スマートプラントとクア・オルト(療養地)を展開。温浴事業。

NEC・インテルと協働でスマートプラント実現へ。
リサイクルのDX-ICT化、ローカル5G活用。
廃棄物の軽量、料金決めの自動化。
従業員の働き方が変わる。

Zero wasteの世界を目指す。

データを活用できないと意味がない。
データの整理は経営者ではなく現場にやってもらう。
現状の現場に合っているか?

業務システムのDX→働きがい改革
基幹系システムの完全クラウド化
情報系システムのクラウド化
情報端末のスマートデバイス化

廃棄物処理事業からエネルギー供給事業へ転換
集塵機の風で風力発電。
振動で発電。
いずれも他社とのパートナーシップが大切。

なぜ今デザイン経営なのか
特許庁 今村 亘氏

(ここでいうデザインは設計とか都市デザインのこと)

例:コンピュータのデザインの変遷("+"以降が後からどんどん追加されてきた)
Hardware + Electronics + Software + Network + Service + Data + AI

差別化
UI、UXも差別化要因。
他社に追従されないよう特許、意匠、商標等で保護しておくことが重要。

デザインの役割
研究開発 - 死の谷 - 社会実装 (研究開発と社会実装の間に谷間がある)

せっかく基礎研究してもそこから生み出したものが全く使われない事が起こる。
使われるためには、ユーザー目線で、デザイン思考で考えることが必要。

例:GEのMRI
従来 性能向上や小型化を目指してきた。
観察 子供がMRIを見て怖がり泣き叫ぶ。
開発 壁や医療機器を宇宙船や海賊船に。子供が楽しみながら受診できるように。

「産業競争力とデザインを考える研究会」2017年~2018年
意匠法を時代に合わせて変えることを検討。
法律改正だけでは世の中は変わらない。日本をデザイン経営で変えるにはどうすればよいのかも検討。
アウトプット「デザイン経営宣言」
 役所としては珍しい形の資料(プレゼン)に。

デザインは2つに分かれる。
  • ブランド構築に資するデザイン
  • イノベーションに資するデザイン

デザイン経営の定義
デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営

必須条件
デザイン責任者の経営チームへの参画
事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画

デザイン経営宣言には「行政も実践すべし」とある。
そこで、特許庁でも自ら取り組んだ。
庁内研修でカスタマージャーニーマップ作成。
2018年 CDO設置、デザイン経営プロジェクトチーム設置。
キックオフ、合宿を実施。

ダブルダイヤモンドモデルを利用。
正しい課題を発見・定義する
 発散→収束
 理解する 観察する 視点を得る
正しい解決策を想像する
 発散→収束
 着想を得る 試作品を作る 検証する

カスタマージャーニーマップ作成のプロセス
Step01
 インタビュー
Step02
 ペルソナ設定
 カスタマージャーニーマップ作成
 課題定義
 課題解決策の着想
Step03
 解決策を仮定する
 とりあえず形にしてみる
Step04
 検証の実施
 まとめ
Step05 繰り返し
 解決策のブラッシュアップ

プロジェクトの成果
新しいアイディアの着想と実行のスピードが格段に向上。
落としどころからではなく「誰のため」「何が必要か」を起点に考えるよう意識が変化。

UIチーム
 拒絶理由通知をスマホで解消(お助けサイト)
広報チーム
 ジュニアイノベーションフェス2019
  うちわんグランプリ
国内サービス・ブランディングチーム
 「商標拳」動画公開

新たにビジョンメイキングチーム(大阪・関西万博チーム)を設置

メンバーの進化
  1. まず課題を設定
  2. 現実のユーザーと対話
  3. ユーザーの日常との距離を実感
  4. 視点が特許庁からユーザーに移動

デザイン経営の表彰「知的財産功労賞」 2019年度より開始。

「デザイン経営ハンドブック」発表。

三井住友FG 大田純社長
「決定的とも言える危機感の欠如
 これは企業組織がなかなか変われないことにも通じると感じた」

CHRISTIAN BASON
Denmark Design Center CEO
「これまでの企業は『数字』の言葉に依存しすぎていた」

デザイン経営の課題と解決事例
経営陣の理解不足

デザイン経営プロジェクトチームの今年度の体制
海外チーム、UIチーム終了
業務・働き方改革チーム、中小企業のデザイン経営支援チーム新設

結論
社会が変わってきている中、新しいものを作っていく方法の1つにデザイン経営があるのではないか?


永遠に終わらない会社をめざして
八海醸造 南雲 二郎氏

終わらない会社は、現状に満足してはならない。

沿革

1964年
当時の生産能力は90kl(500石)。
360kl(2000石)の蔵を作成。会社を存続するために(今思えば過剰投資だった)。

食に寄り添い、心を通わす品質。
食中酒としての役割を担う。

1979年
単独での価格変更を決行。当時の業界では異例。
独自の品質を目指したことでリベートの廃止を決断。

1986年
株式会社八海山 設立。製販分離。
製造は製造に特化、販売は販売に特化。

1989年
供給不足で市場価格が高騰。
レギュラー酒の量産計画を立て消費と価格の安定化を目指した。
(高品質化も)

2004年
第二浩和蔵稼働。
レギュラー酒のさらなる高品質化と量産化。

2013年
八海山雪室 稼働。
雪の冷気で長期貯蔵。
他の立地ではできない。八海山酒造の優位性。

2014年
新浩和蔵 稼働。
人材育成を目的とした高級酒製造蔵。

デザインの意味
視覚から訴える品質。手に入れたい欲求を刺激する。手に取りたいと思われるデザイン。
デザインも品質のうち。
  • ひょうたんボトル
  • スクリューキャップをやめた
  • レギュラーの高級酒

現在のシェア
課税移出数量ではシェア1.17%
(金額ベースではもっと高いはず)

日本酒の売上の伸びはあまり見込めない。日本酒以外の柱が必要。
商品開発を進めている。泉ビール、梅酒、米焼酎など。
「麹だけで作ったあまさけ」。酒造メーカーならではの技術。
 市場拡大 2010年40億→2017年240億
 リピート率60%

あまさけは体によい。便通、糖尿病など。

魚沼ブランドの発信 季刊誌「魚沼へ」発刊。
魚沼の里構想

輸出
中国の伸び率174%

売上
H1 20億→H31 100億超え
日本酒市場はシュリンクするので他の商品開発が必要。

H1→H29 国内需要の変化
清酒 39%
ワイン 277%
ビール 42%
ウイスキー 75%
リキュール・スピリッツ 1,128%
清酒とビールの減りが大きい。大きく伸びたリキュール・スピリッツには第三のビールを含む。みんなが「第三のビールでよい」と思い始めている。
日本酒は日常消費財ではなくなる可能性がある。

アルコール飲料消費量の推移
H8→H28 87%

海外輸出は伸びているが、清酒の輸出は2018年で220億。まだまだ。
(あまさけ市場と同じ)

インバウンド 2019年は31.9百万人。ここに期待。
コロナで99%減ったが…。


デザインで人を動かす
組織マネージャー・現場リーダーのための『デザイン力の基本と原理原則』
ウジパブリシティ― ウジ トモコ氏

デザイン力が上がると何が起こる?

1. ビジネスのスピードが上がる。
 Accesibilityがスピードを変える。

2. 写真や資料が映える。
 Impression
 ウジパブリシティーでは写真などを入れた場合の効果測定をしている。

3. レート・価値比較
 デザインで信頼感(Sincerity)が生まれる。

4. 差別化=競争優位
 Uniqueness

5. みんながシェアしてくれる
 PR効果
 Shareness

1.~5.を合わせて"AISUS"
コンサルを雇わなくても、AISUSに気をつけてレビューすればデザイン力の高い資料が作れる。現場で使ってほしい。

視覚とデザインの原理原則を知る

人間の目とものを見る仕組み
 うさぎの視野角=周囲を広く見る
 人間の視野角=目の前の対象物をよく見極める
 ルビンの壺(だまし絵)
  同時には壺か顔かのどちらかしか片方しか見えない。
  人間はゲシュタルトを1つしか維持できない(オウムの本)。

 アナキン・スカイウォーカー
 いい人と悪い人を行ったり来たりする
 人間はもともと多面的 人が持てる「印象」はひとつ

人間の脳はたくさんのものがあっても丸めて見てしまう。
パフェの写真とラズベリーの写真を一瞬見た時、パフェの写真に何が写っていたのかを覚えることは困難(アイス、フルーツ…)。一方、ラズベリーの写真は一目瞭然。
パフェの写真は、アイスとラズベリーに分けたほうがわかりやすい。

人間はビー玉を見た時、7つまでは認識できるが、それ以上は覚えられない。

デザインの競合状態
意識は、そこに存在する情報より捨てられたものによって成り立っている。
何かを「見せる」ということは何かを「見せない」こと。
いっぱい詰め込まない。絞る。

パクリはなぜダメか?
「赤ちゃんにも不気味の谷」
人間には偽物を気持ち悪いと感じる能力がある。
母親、他人、半分お母さんの3枚の写真を見せると、赤ん坊でも偽物がわかる。
ふなっしー、ピカチュウ、ディズニー 中国のパクリを日本人は気持ち悪く感じる。
meijiとmuhi meijiがロゴを変えた時、muhi側から「ロゴが似ている」とクレーム。
東京オリンピックエンブレムも…。
デザインの信頼性が大切。

合理的x拡張可能なデザイン

金子牧場ヨーグルトの事例
Master Brand Designを作成。ロゴを推した。色を絞った。
一度作ったブランドデザインを、牧場自身で再利用。新商品、看板、etc.
デザインを資産に。
価値を上げ、コストを下げることができる。

人を動かす、すぐに使えるノンバーバル・コミュニケーションの例
  • 鏡の法則
    見せたものが集まる
  • 若い人を集めたければ若い人を出す
    お母さんを集めたければお母さんを出す
  • ベネフィット&インサイト
    相手が欲しかったものを見せる。
    相手がほしいと思っているもの=ベネフィット
    相手が気づいていなかった願望=インサイト
  • 相手の気持ちになってみる
  • 天才的に上手だったのがスティーブジョブズ
    初代iPhone発表時の有名なプレゼン「指」

書籍紹介
「デザイン力の基本 簡単だけど、すごく良くなる77のルール」

宇宙を人類の生活圏に
民間初の月面探査プログラムから見た新規事業プロジェクトマネジメント
ispace 朝妻 太郎氏

ミッション、ビジョンの大切さ
目指している方向性を指し示すこと、変えずに追い続けること。

ispaceのビジョン
「2040年代に月に経済圏を創出する」
 マイルストーンを設定することで納得感が上がる。
 それに共感する人が集まる。
 これがプロジェクトを推進する上で大切。

チームHAKUTO
Google Lunar XPRIZE 中間賞を受賞。(2018年 勝者なしでプロジェクトは終了)

10年スパンでのアプローチ
 普通、中計は3年なので、10年の計画は難しい。

月には水がある。
これをH2とO2に分解して燃料に。
このメリットを誰(ステークホルダー)にどう伝えるか? がPJを進める上でポイント。経済合理性あり。

直近の目標
2021 月面着陸
2023 月面探査

誰をどう巻き込むか? どんなメリットがあるか?

スコープの設定が大切。
ロケットは、SpaceXのに乗せてもらう。
月航行、月面着陸、月面探査がispaceのスコープ。

ビジネスモデル
物資輸送サービス+情報(コンテンツ&データ)

2020年代のビジョン
"PLANET6.0"
 地球-周回軌道-月が一体となる社会。
 グローバルの課題を解決。
「宇宙」を考えると地球にも目が向く。
 気候変動、CO2、アフターコロナ
  これらの共通解=水素社会、スマートシティ、コンタクトトレーシング

バリューコンバージョン(価値変換)
そのプロジェクトが持つ価値は何か、客観視し変換する。
例:
サステナブルシティ
マーズ2117

バリューコンバージョン的アプローチ
月面閉鎖空間のエコシステムがどのような価値を相手にもたらすか?

月面資源
 豊富な資源がある それをどう活用するか?
 バリューチェーンをどうしていくか?
 「顧客の顧客」を発見する。
  水素貯蔵の客を見つけると、その客である生産者を見つけられる。

スマホは2007年に誕生し、2020年はUberEatsなどが乗ってきた。
10年後にアプリが乗っかるプラットフォームをあらかじめ作っていたことが成功につながった。

巻き込み力
共感ポイントを見極め、志を合わせシナジーを生み出す。

NASAやJAXA、ルクセンブルグ政府と連携
パートナーとの協業
パートナー企業連合情報発信

メディア露出多い。
なぜメディアに取り上げられるか?
ビジョン
価値変換
地球にとってどんなメリットがあるか
を発信しているから。

21カ国から集まった118名のチーム。多様性が高い。
このようなチームではビジョンが効いてくる。


ICT教育から拡がる地方活性化プロジェクト
総務省「地域ICTクラブ」実証事業の採択プロジェクト実践報告
あきたかたSTREAM教育フォーラム 増野 一幸氏

地域ICTクラブとは?
少年野球団のように地域の人たちがICT推進をしていく取り組み。
教育、世代交流、地場産業の後継者育成、地域課題解決、まちづくり、etc.

楽しく学び合う中で世代を超えて地域・経験を共有する仕組み。
学び合いによる各々の知見の共有。

STREAM教育とは?
STEM+Robotics+Art

地域プログラミング教育の課題
人材がいない。負荷も高い。
動画を徹底活用した自律的ICT学習環境の実証を提案し、採択された。
①動画の一斉視聴
②自律学習
③有効なICT教材
④最小限の個別対応 メンターの手間を少なく
⑤行動分析(うまくいくのかの評価) 動画撮影。(ここでも動画)

メンター確保が課題。
入ってくる人
 口コミ
 ネットと地域放送による広報
 園児と保護者
出ていく人
 民間事業者 本部の理解が難しい
 活動時間の相違 平日日中帯活動できない
 地域行事やクラブ活動が多忙

教材ラインナップ
1. タブレット
 転がるロボット”Sphero”を転がすプログラミング
 子供は説明を見るよりも、早く触りたい。
  動画で伝えることを絞ることが大切。言いたいことの6~7割にする。
  「スタート」を押せばとりあえず動くようにしておく。
2. 学研ニューブロック
 園児・小学校低学年向け
 丈夫
3. ドローン
 上級者向け

競技 転がるロボット障害物レース
ゲーム性の高い教材は子供も夢中になる。

⑤行動分析のプロセス
1. 指標・仮説の設定
2. 受講風景動画の視聴・分析1
3. 指標・仮説の見直し
4. 受講風景動画の視聴・分析2
動画だけでの分析は難しい。行動観察memo、アンケートもinputとする。

動画教材の効果
自律的学習を促す
メンター負荷軽減の効果

低学年は動画を積極的に視聴しない。一方、高学年や中高生は活用。
ペアプログラミングの学び合いの有効性を確認。
 端末が足らず2人に1台としたら、2人で相談してプログラミングし、良い結果を生んだ。
 1人1台が必ずしもよいとは限らない。
活動におけるチームビルディングは諦め、個人の習熟を目標とすることにした。
 短期間でチーム活動は無理だった。

ゲーム性のある講座は、当人も外部からも習熟度が見える。
大人の声掛けで集中力回復。
PDCAで短期間にカリキュラム改良できた。ここでプロジェクトマネジメントの知見と経験の効果が発揮された。

最重点課題=集客と講座内容のマッチング
  • 休日に親と来る(低学年)=半日、気軽に
  • 学校の時間割、クラブ活動に組み込む場合(高学年)=1時間、仲間とじっくり
  • 子どもが自発的に来る(中高生)=じっくり、相談しながら

いちや農園を設立
 有機農家グループ

IT&Fab
 モノづくり広場
 STREAM教育
 学習塾(理数)

自伐型林業
 誰に相談していいかわからない→団体を設立。安全面が課題。

木造廃校舎活用に取り組む。
田舎の魅力ある拠点づくり

教育の要素が大切

地域活性化のマルチプロジェクト
 地方にはプロジェクトマネジメントで解決すべき問題が山積み。
 PMがチャレンジできるチャンス。

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2020年9月23日水曜日

PMシンポジウム2020 参加レポート (Day 1)

2020/9/10~2020/9/11の2日間、PMシンポジウム2020に参加したので、簡単にレポートしておく。
このエントリは1日目分。
今回はコロナ禍によりオンライン開催となったのが残念である。自宅だと講演に集中しづらいというのが正直な感想。

さて、今回は基調講演1、2がすごくよかったので、この2つについては私自身の所感も含めて詳細にまとめる。その他の講演は自分用の備忘としてのメモのみ掲載する。

基調講演1
スタートアップと大企業のオープンイノベーションによる未来創造
株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充氏

ユーグレナは一言で言うとミドリムシの会社である。
創業者である出雲氏は、学生時代にバングラデシュを訪れ、そこで最貧困国の実態を目の当たりにしたことが人生の転機であったと語る。「栄養価の高い食品を開発し貧困国の人々を救いたい」、との思いでミドリムシの研究をスタート。
試行錯誤を重ねた末、培養が難しかったミドリムシの大量生産に成功する。

そんな氏の講演内容は、「SDGsの達成に向けて何が必要か?」である。

SDGs達成には「イノベーションを創出する力」が必要だと説くが、そこで指摘されたのが日本人が勉強・能力開発に費やす費用や時間の少なさ。
社会人の能力開発を見ると、日本人は平均5万円/年、0時間/週しか能力開発に費やしていないが、一方で米国人の平均は440万円/年、6時間~/週であるという。これは耳が痛い。(この金額は、もちろん個人の自腹だけでなく、従業員を雇っている企業が従業員個人個人のために費やしている能力開発費も含む)。また、大学生を見ると、日本の大学生の8割は1日1時間も勉強していないという(対して米国の大学生の8割は1日1時間以上勉強している)。これでは日本初の画期的なイノベーションが生まれないのは当たり前。

さて、そんな日本の弱点は、DXとアントレプレナーシップの弱さにあるという。
アントレプレナーシップを持った人材を排出するには、大企業と大学発スタートアップとのオープンイノベーションの推進が鍵を握っており、そのためにはエコシステムを形成して大学の先生や学生を徹底的にサポートし、大学発のベンチャーをどんどん生み出していくことが必要。
また、短期的な利益にばかり目を向けていてはDeep Issueには立ち向かえない。日本が得意とするモノづくり等の技術、Real Techが必要と説く。

そして話題は、本公演の核心となる「若者」へ。
日本においては、2025年にはミレニアル世代とZ世代が労働人口の半分を占めるようになる。よって、企業は若者の言葉に耳を傾け、若者の考え方にフィットさせていうことが重要。また、DX化はできない人(おじさんおばさんたち)が今から勉強していては世の中の変化の速さに追いつけないので、デジタルネイティブな若者に任せるべきだという。

所感

これからの時代は若者が主役、という点に異論はないのだが、現在の日本は若者・ベテラン問わず勉強不足・力不足であるのが現状であり、この状況を打開するには「日本の若者をどう育てていくか?」というか「どうやって勉強する気にさせるか?」がポイントになるのだと思う。(内発動機。この講演ではそこまでは語られなかった)

基調講演2
「”あいだ”の経営」~ミクロ人本主義経営の台頭~
長野県立大学グローバルマネジメント学部教授
ソーシャル・イノベーション創出センター長
大室 悦賀氏

イノベーションについて、人間の認知能力という切り口で語られた。

まず、人間の現在の認知能力では現代完了形を捉えることはできるが、現在進行系は捉えられない、という話からスタート。イノベーションは見えていない世界を垣間見るところから始まり、だからこそ難しい。
では、イノベーションを起こす企業とはどんな企業か? それは「哲学」を持つ企業なのだという。CPO(Chief Philosopyy Officer)を置く企業も出てきており、例を挙げるとGoogle, Appleなどが名を連ねる。
VUCAの時代においては従来の合理性や効率性という思考(過去をベースとした延長線で物事を考える手法)が通用しなくなっている。そこには哲学が必要なのだ。(近年、思弁的実在論などの新しい視点の哲学も台頭してきている)

ここから「SDGsは17のゴールを1つずつ対応するのではなく全部まとめて対応する」「オープンイノベーションは市民・ユーザー主導」といった話を挟んだ後、イノベーションを起こすための要件、といった話に向かっていく。

話題がかなり多岐に渡ったため、以下ポイントだけ整理する。
  • イノベーションを生むには、曖昧さや未知のものを捉える力が必要。人は視点を主管・客観で分ける事が多いが、この2つに分けた時点で、物事の曖昧な部分を捉えられなくなってしまう。主管・客観以外の視点が必要。
  • リードユーザー・イノベーション。「ニーズを分かっている人」がそのビジネスをするのが最も有効。ユーザーが主導すべき。
  • 起業の動機要因のひとつに「自己表現」が挙げられる。女性の起業が増えている理由もここにある。
  • ナレッジの整理にはSECIモデルが有効(暗黙知を形式知に変換し、形式知を暗黙知に変換)。
  • 最小有効多様性の法則。複雑多様な環境に対応するには、それに対応する組織も同じ程度の多様性を持っている必要がある。知識を増やし創造性を発揮するにはイントラパーソナルダイバーシティが鍵を握る。
  • 「両利きの経営」。知の探査と知の深化。両方ないとイノベーションは起きない。
  •  直感が重要という話も出てきている。ナポレオンが勝てたのは直感のおかげと言われている。直感の確からしさは知識と経験の量に比例。
  • リラックスしている時の方が良いアイデアは出る。故にデフォルトモードネットワーク、マインドフルネスが注目されている。「内臓感覚」「内臓思考」(内蔵ではない!)。生命の本質は腸。
  • ネガティブ・ケイパビリティ(不確実・曖昧なものを曖昧なまま捉えて受容する能力)は、人間の脳は苦手であるが、極めて大切である。
  • 自由な発想を生むには、まず破壊を先行させ、「余白」を作ることが必要。

所感

私の頭ではうまく整理できていないが、「哲学を持つこと」「知の深化と知の探索」「イントラパーソナルダイバシティ」「直感・内臓思考」「ネガティブ・ケイパビリティ」あたりが重要キーワードであると理解した。
面白かったのは、イントラパーソナルダイバーシティの話題の中で、「経験を積んだ人が自分の思考パターンを見つめ直すことが大事、これができないと若い人に任せるという話になってしまう」という話があったこと。出雲氏の言葉と見事に相反している。おじさんの私としては、若い人たちに任せられるところはどんどん任せていく一方で、任せっきりにするのではなく自分たちもイントラパーソナルダイバーシティを高めていきたいところである。「直感の確からしさは知識と経験の量に比例する」のであれば、直感を活かせるのは若者よりも経験豊富なおじさんのはずである。

基調講演はここまで。以下、受講した講演のメモのみ。

ポストコロナのSDGs×DX社会
クレアン 薗田 綾子氏

ポストコロナの世界では、ビジネスモデルの変換が必要。調達先変更、特定国への集中見直しなど。
働き方も変革する。子育てや介護との両立、ワーケーションなど。

コロナで生活者の価値観・消費行動・働き方が変わった。
安全・安定 節約 イエナカ・家族 社会協調。

忘れてはならないのは、そもそもコロナ以前から環境・社会問題は山積みで、だからSDGsが提唱されたということだ。

SDGsの背景には以下のようなデータがある。
  • 地球の人口は2050年には97億人に達すると言われている。
  • 今や環境問題が人類の一番のリスク。全人類が日本人と同じ暮らしをするには地球2.8個必要と言われている。人類は地球に負荷をかけすぎている。ここからOne Planet活動が生まれた。
  • 今でも、世界中には奴隷労働を強いられている人が4030万人もいるとされている。それはサプライチェーンの最上流(資源発掘現場など)で起きている。
  • 海洋プラスチックは深刻な状況。2050年には魚を上回る量の海洋プラが海を漂うと言われる。
  • フードロス。
  • ジェンダーギャップ。日本は後進国である。

あちらこちらで言われているように、パートナーシップがSDGsの本質であり、様々なステークホルダーが協働し取り組まなければならない。世界のSDGs達成度ランキングにおいて、日本は現在17位だ。特に「1.貧困をなくそう」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」が停滞している。

社会の変容、Social Transformationが起きている。
SDGsのような長期的な目標を達成するためには、将来のあるべき姿を想定し、そこからバックキャスティングして計画を立てていくことが必要だ。

以下、世界に見るDXの実例。
  • セネガルのデジタル決済プラットフォーム。保険費がモバイルマネーで支払えるため、多くの国民が保険制度に加入できるようになった。
  • 輸血用血液を運搬するドローンを開発するスタートアップが登場。
  • ブロックチェーンとAIで廃棄物をマッチング。例えば、コーヒーかすをフィルターや顔料、石鹸、紙にしたり、バイオプラスチックできのこを栽培したり。
  • サーキュラー・エコノミーのためのAI活用が始まっている。エレン・マッカーサー財団とGoogleが提携。

廃プラの再利用は大きな市場になりつつあり、もはや環境問題だけでなく経済政策である。つまり、多くの企業にとってビジネスチャンスになりうるということ。
イノベーションは右脳が起こすと言われている。講演内容は右脳にインプットしてほしい。

技術と叡智、IHIの技術力と人材で実現する社会
IHI 加藤 格氏

IHIにおけるDXの取り組みの紹介。

IHIが直面する課題は4点。
  • 社会インフラの多様化
  • 高度情報化の加速
  • 世界経済の複雑化
  • コロナの影響

IHIの主要ビジネスは、以下4つの事業領域。
資源・エネルギー・環境
 脱CO2・循環型社会
社会基盤・海洋
 安全・安心な社会インフラの実現
産業システム・汎用機械
 事業運営の最適化 産業インフラの発展に貢献
航空・宇宙・防衛
 航空輸送、防衛システム、宇宙利用の未来を切り拓く

DX事例紹介
バリューチェーンをデジタルで連動させて最適化、お客さま価値創出

事例1 デジタルを生かしたお客さま価値創造
salesforce、ILIPSを利活用し業務効率化
創出した時間を顧客対応に振り向ける
Salesforce
顧客の状況がリアルタイムに見えるようになった
→資料作成が不要に。会議も減る。
蓄積・共有した情報をお客さま価値へ

事例2 タクトタイム生産をデジタルで支援
実績報告→進捗・異常の見える化→データ分析
実績報告に基づいてJITでKIT化

事例3
ICTタグ活用によるスピードアップ
Before 情報端末
After タブレットで手元で入力、RFIDで自動入力
生産性向上

事例4
建設現場ICTツール
タブレットで一元管理
物量進捗の取得
配管品質記録の一元管理

事例5
航空機エンジンの最適な水洗時期の提示
機械学習、航空エンジンモデルで予測モデルを構築


DXへの取り組み
デジタル化しない企業は生き残れないという意識で施策を打ち出している。
CEO直下に全社横串のDX担当部門を設置し、全社CDOを配置。
各事業領域にもCDO/DXグループを配置し、全社横串部門と連携。

CDOの役割は?
IoT/ICT戦略、投資配分、人材マネジメント
お客さま価値創造・業務改革・共通ICTツール基盤
人材マネジメント

DX戦略
過去より蓄積してきたデータとIoT/ICT戦略で新たに獲得するデータをAI/データ分析で利活用、課題を解決してお客さま価値を提供する。
プラットフォームづくり。環境だけでなくノウハウ、方法論、ルール・制度、教育プログラムを整理・整備

DX実現のために
ビジネスモデルを変える
ものづくりを変える
業務を変える
「つなぐ」を変える

DXのためのプラットフォーム
価値創出
AI/深層学習
プロセス改革
クラウド活用 情報セキュリティ
人材育成

共通IoTプラットフォーム ILIPS
4つの事業領域から情報収集
基本機能
装置の状態監視
予防保全
レポート作成支援
アラート
取り扱いデータ多様化 数値、テキスト、画像、音声
外部サービス連携 API用意
マイクロサービス提供 BI、分析ツール、グラフ表示
 ユーザ認証 サマリデータ アラームデータ 動的MT法

MS Teamsベースのコラボレーションツールを社員に提供。リモートワークにも円滑に対応。

情報セキュリティ体制
セキュリティ監査 3つのディフェンスライン

  1. ビジネスユニット、関係会社
  2. 事業領域
  3. コーポレート

人材育成
AI/データ分析技術
製品/サービス開発
ものづくり生産技術
全コース内製
お客さま価値創造プロセスをコースプログラムに適用
コンセプト創造を重視
経営層にも受講してもらった

IHIの叡智を引き出すDXに必要な人材力は?
ものづくり力
お客さま価値創造力
IoT/ICT戦略技術の活用力

地上のちいさな太陽のつくりかた
実験炉イーターの建設プロジェクト
量子科学技術研究開発機構 杉本 誠氏

温暖化とエネルギー需要の関係。
2020年から2100年までにエネルギー需要は2倍になる。
二酸化炭素は今よりも削減しなければならない。

資源の残量は?
石油 50年
天然ガス 50年
石炭 132年
ウラン 99年
あと200年で底をつく。
新エネルギー源の開発が必要。

フュージョン発電(水素)
 燃料は海水から採取
 運転時CO2を出さない
 安全性が高い
資源のない日本には有効。

寿命とエネルギー消費
 女性寿命とエネルギー消費には正の相関あり。

フュージョン発電の原理
 太陽エネルギーの源
 水素原子4つが重力で融合しヘリウムに変わる
地上に太陽を。
重水素+三重水素→ヘリウム+中性子 ここでエネルギー取り出す。
燃料1gで石油8t分。
重水素は海水から取得。三重水素は自分で作る。
燃料をプラズマ状態にし燃焼させる→ブランケットで受け止め熱水に→熱交換器でタービンを回す。
ブランケットでトリチウムを作る→ヘリウム+三重水素
燃料は無限にある。

湯川秀樹が先導(中間子を予言)

フィッションvsフュージョン
フィッションは重い原子核が分裂してエネルギーが発生
 連鎖反応する
 数年部の燃料を炉に入れておく
 暴走しない工夫が必要
 核分裂生成物が発生
フュージョンは軽い原子核が融合してエネルギーが発生
 連鎖しない
 必要な分しか炉内にない→燃料供給が必要

フュージョン煉獄時代
技術的課題
 炉内を1億度以上にする必要があり、プラズマの閉じ込め性能が劣化
 プラズマ電流の定常駆動が必要
→既に克服済み。
超伝導コイルでプラズマを閉じ込める。
 超伝導コイルはニオブ・スズから作る。製造は難しい。

ITER計画
1985年 ゴルバチョフ、レーガンの首脳会談が発端
2007年 協定が発効、日欧米露中韓印
技術的実証実験が目的。現在建設中(フランス プロヴァンス)

国際プロジェクト管理の難しさ

1. 想定外のことが起こり、要求変更が発生する。
 例
 ITER機構(IO) 通路の幅を広げる必要がある(要求変更)
 国内機関(DA) その費用とスケジュールはどうする?
 IO-DA間で多くの議論・時間を費やす
 
 解決策
 意思決定機関を作った。
 Exective Project Board
 Joint Project Coordination

2. 部品ごとに調達するDAが違う
 例
 A国DA ある部品の取合交差を変更したい。
 B国DA こちらの部品は既に完成している。
 
 解決策
 課題解決のための各種プロジェクトチーム設立。

3. 建築・運営にフランス当局の許認可を受ける必要あり。
 例
 フランス当局より地震等による全所停電のストレステストが必要と言われる
 DA 当初計画にない。コストとスケジュールは?
 解決策
 課題解決のための各種プロジェクトチーム設立。

日本の貢献
那珂市 サテライト・トカマク
六ケ所村 事業所
不定期に採用試験をやっている

Society5.0/第4次産業革命期におけるデジタル社会経済のマネジメント
ウィズ・コロナ/アフター・コロナ時代における新しい資本主義
日本総合研究所 東 博暢氏

平和末期~令和初期は新たな資本主義への幕開け。
Invisible Capital/Circular Economy/SDGs
統合イノベーション戦略/融合・エコシステムの時代。

1.複雑化する社会における未来社会の捉え方

政治・社会・経済・制度が複雑化・創発化。
イノベーターが出てきてパラダイムシフトが起こる。
イノベーション=新しい組み合わせ
要素還元主義の限界、確実性の終焉。
エコシステムを作ろうという動きに。

必要な人材は?
全包括主義。
スーパージェネラリスト、プロデューサーが必要。

Against Short-Termism
短期指向の克服。短期指向ではイノベーションが出てこない。長期的視野で。

今後40年で概念、価値観、ものの見方が変わる。

Society5.0/第4次産業革命期の本質は?
スマート化する社会(市民にとって便利)⇔複雑化する社会(企業にとって複雑)

5年スパンで産業界が変わってきた。
インターネット商業化
Social
Mobile
自律化
Tech企業が他業種を侵食していった。金融、交通など。

社会の構造は4つのレイヤーに整理できる。
最上位 サービス提供者
レイヤー4. コンテンツ・サービス・アプリケーション
レイヤー3. プラットフォーム
レイヤー2. ネットワーク
レイヤー1. もの
最下位 利用者・住民

自動車業界でこの4レイヤーの垂直統合をしたのがTESLA。Googleも乗り込んできた。
日本はネットワークのレイヤーに注力してきた。フィジカル(リアル)側。
一方、欧米はプラットフォームに注力。一番儲かる。サイバー側。

Society5.0
創造社会。サイバー空間とフィジカル空間が融合。
新しいバリューを生み出す(コストカットではない)。

社会・経済・街づくりのDX化
DXはDigitalizationとは違う。
社会では美的体験が求められており、それを生み出すためにデジタルを使うというのがDX。The city as service platform for citizen

Society5.0=SmartCity推進。
テクノロジーではなく住民主体。
地域課題を解決することが本質。
Society5.0の街づくりはSDGsの17の課題解決。

"G20 Global Smart Cities Alliance"
参加都市増えている。GAFAも入ってきた。

事例
  • Sidewalk Toronto(残念ながらGoogleは撤退したが)
  • DIGITAL NYC
    スタートアップが集まりお金も集まった
  • ET City Brain
    都市のOS
    監視都市だが中国人はもうなれてきている
  • TOYOTA Woven City
  • Softbank インドネシア都市移転プロジェクト

プラットフォーム事業者がSimCity化している

日本は人口増減が大きい。今の都市設計で耐えられるか?
人が減ることを想定していない。
人が住まない家はぼろぼろになってしまう。
住まない・家を畳む=都市開発と矛盾している。

日本はインターネットが発展する前に都市のインフラシステムを作ってしまった。
逆にテクノロジーへの追従が遅れた。

社会保障費は今後爆発的に増えていく。効率化が必要。ピンピンコロリを技術で実現。

スマートシティ推進の困難さ
従来型の都市計画は工学系、フィジカル。
インターネットが入ってきた途端に訳が分からなくなる。

コロナで仕事の拠点と住居が一体化。都市づくりを困難に。

新たなPublic Private Partnership
官民マッチング。政府が仕掛けるべき。
1社で何かを作ることはもはや無理。オープンイノベーション。

プロセスのイノベーションも必要。
従来の街づくりは完璧なウォーターフォール型。
これからはアジャイル型+ウォーターフォールのMixとなる。

公共調達のスタートアップへの開放。SBIR(中小企業技術革新制度)。
インキュベーターとしての都市。
例:浜松市スマートシティ戦略

ウィズ・ポストコロナ社会のマネジメント
生活はがらっと変わってしまった。完全に元に戻せない これをどうマネジメントするか?
感染症社会になり、首都圏は脆弱だということが分かってしまった。
地方への分散化が始まる。「自然首都圏構想」など。
大企業が本社機能を地方に移すことも始まっている。

Dual Mode Society(ポストコロナにおける新たな社会システム)
Biz.MODE⇔SAFE MODE
今後は2つのモードを状況によって行ったり来たりする。冗長性・アジリティをどう実装するか?

やはり若者がカギ。Audrey Tang(台湾デジタル大臣)は「リバース・メンタリング」として若者がシニアを教える(デジタル)というルールを作った。

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2020年9月14日月曜日

Vimperatorに続いてcVimも死んだのでSurfingkeysに乗り換えた

cVim がchromeウェブストアから削除されてメンテされなくなり、さてどうしたもんかなあと思っていたら、Surfingkeys に辿り着いた。
何これめっちゃええやん。今まで知らなかったの悲しい。

私がこの手のキーバインド系ブラウザ拡張を使い続ける最大の理由は、fキーで使える"hit a hint"機能にある。
リンクに番号(英字だけど)が振られ、キー操作でリンクを辿ったりボタンをクリックしたりできるこの機能により、右手をマウスとキーボードの間で行ったり来たりさせる必要がなくなるわけである。

Figure.1 Hit-a-hint

矢印キーも極力使いたくないので、手をホームポジションに置いたままスクロールしたりタブを切り替えたりできるようにカスタマイズすることも極めて重要である。

ぼくのかんがえたコンフィグ

私のSurfingkeysのコンフィグは、現在以下のようになっている。
もともとVimperator使いだったので、かなりVimperatorに寄せたキーバインドにしている。
mapがなくコメント行だけ書いてある機能は、Surfingkeysデフォルトのキーマップそのままで使っている。コメント行はマニュアル代わり&備忘が目的。

// P Open selected link or link from clipboard
map("P", "cc");

// p Open selected link or link from clipboard in current tab
mapkey('ci', '#7Open selected link or link from clipboard on current tab', function() {
    if (window.getSelection().toString()) {
        window.location.href = (window.getSelection().toString());
    } else {
        Clipboard.read(function(response) {
            window.location.href = (response.data);
        });
    }
});
map("p", "ci");

// on Open newtab

// S Open Search with alias g
map("S", "og");

// d Close current tab
map("d", "x");
// u Restore closed tab
map("u", "X");
// U Open recently closed URL
map("U", "ox");

// gx0 Close all tabs on left
// gx$ Close all tabs on right

// ctrl+→ Move current tab to right
map("<Ctrl-ArrowRight>", ">>");
// ctrl+← Move current tab to left
map("<Ctrl-ArrowLeft>", "<<");

// gu Go up one path in the URL
// gU Go to root of current URL hierarchy

// D go forward in history
// <Backspace> Go back in history
map("<Backspace>", "S");

// l Go one tab right
map("l", "R");
// h Go one tab left
map("h", "E");
// g0 Go to the first tab
// g$ Go to the last tab

// gg Scroll to the top of the page
// G scroll to the bottom of the page

// j Scroll down
// k Scroll up

// / open find bar

// n Next found text
// N Previous found text

// r Reload the page

// gf Mouse over elements.

// yy Copy current page's URL

// v Toggle visual mode
// V Restore visual mode

// ;e Edit settings
// i Go to edit box

まだまだSurfingkeysを使いこなすところまで行っていないが、一旦満足。今後もちょこちょこチューニングしていく所存。